塾長は母親と同居している。
その母親は、
高齢者になり、
特定難病に指定されている病を患っており、
要介護認定を受けている。
障害者の一歩手前だ。
介護制度は
本当にありがたく、
制度がなければ、
精神的・経済的・身体的に、
負担が今よりもっと大きいのは確実で、
制度のおかげで、
とても、助かっている。
介護制度は
戦後のベビーブーム
つまり戦争で戦死した人口を補おうと
敗戦後の占領下で、
どんどん子どもを作ったことにより、
急激に人口が増え、
その世代が定年退職を迎え、
稼ぎ頭だった人たちが大量に
老人になる、
つまり老人介護の問題が大量発生する、
それを見越して作られた制度
だと思う。
戦後の経済発展の牽引役だった世代が
大勢、引退し、老人になるので、
介護の問題も大問題になるので、
制度ができたわけだ。
戦後の高度経済成長は
廃墟となった国を立て直そうと
身を粉にして
猛烈に働いた
戦前・戦中・戦後の先輩たちが
頭脳と肉体の労働により、
作り出したものだ。
その結果、
世界的な時代背景もあったにせよ、
今の豊かさが実現したことは
間違いないわけで、
今の豊かさは
先輩たちの作品・贈り物である
ということなわけで、
塾長の世代は、
親や祖父母を見て、
そういう経緯を肌身で感じていた。
その牽引役が、
全員、老人になり、
介護を受けなければならない状態になり、
今後ますます、
介護のニーズは増えていくことが確実だ。
それを見越して、
介護関係の事業所はどんどん増えており、
母を通して身近に感じるが、
過当競争になってきているようだ。
中学生の教科書にも出てくるが、
少子高齢化
は本当のことで、
このままいくと、
えらいことになる。
今まで稼ぎ頭だった世代が
要介護になる、
つまり、養ってもらう側になる。
ということは、
若い世代が養う義務を負う。
その若い世代は、
どんどん減っていく。
そんなことは、
小中学生にも理解できる。
第二次ベビーブーム世代、
つまりベビーブーム世代の子どもたちは、
今の働き盛りの世代だが、
この人口は多い。
それが辛うじて、
先輩の作品である豊かさを、
支えているのが実態だろう。
でも塾長も含め、
その世代は、
アメリカナイズされた価値観で、
高度経済成長の中で育ったので、
一般的に、
ハングリーさ猛烈さに欠ける。
いや、親からそれを伝えられたのだが、
バブル崩壊など情勢の変化で、
親からの価値観に、
不信感と虚無感を抱いてしまった。
腰砕けなのだ。
だからいま一つ、
パワーに欠ける。
その子どもは、
不信感と虚無感を
増幅しているようにも見える。
いや、単に、楽に流れているだけ、
ともいえる。
頑張らない。
享楽的。
子どもたちを見ていると、
本当に、
心配になってしまう。
さて、全ての世代が、
平等に老化すると、
どうなるか、といえば
要介護の人口は増え続ける。
年金受給者も増え続ける。
で、それを支えるためには
支える人口も増え続けなければ維持できないはずだが、
今のところは第二次ベビーブーム世代がいるので
成立しているが、
少子化問題が言われるようになって、
かなりの年月がたつ。
悪化し続けているようにしか、見えない。
ということは、
労働人口は減り続けるのだから、
年金も介護も
維持できなくなることは、
目に見えている。
年金も介護も
単純にいえば
ネズミ講みたいな制度なのだから、
裾野が広がっていなければ、
破綻する。
で、現実の裾野は、
尻すぼみになっている。
ということは、
介護制度も年金制度も、
破綻間違いなし、
ということだろう。
いや、
北欧みたいに、
働き盛りの負担を猛烈に増やせば、
維持できるのかもしれないが、
そういう過激なことをしない限り、
無理だろう。
今のうちは、
介護制度も年金制度も
まわっているのだろうが、
システムそのものに無理があるので、
数十年後も同じ内容を期待するのは、
無理だろう。
今、享受できている人が、
たぶん、一番恵まれていた、
ということに なるんだろう。
最近、急激に弱くなって、
特定難病で要介護の
母を見ていて、
自分の老後を想像してしまう。
毎日、塾長として、
子どもたちを見ているので、
その対比のせいもある。
時代と世代。
そればっかりは、
コントロール不能だ。
できるのは、
自分のコントロール
だけだ。
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